安全保障関連法が準備段階から実行段階に

集団的自衛権行使を可能にし、自衛隊の役割を拡大した安全保障関連法(戦争法)が成立してから一年が経過しました。安倍首相は9月12日に、防衛省で自衛隊幹部を前に訓示し、「制度は整った。必要なのは新しい防衛省・自衛隊による実行だ」と強調しました。その手始めが、南スーダン国連平和維持活動(PKO)での「駆け付け警護」「宿営地共同防衛」で、11月の任務付与を前提に派遣部隊の訓練を始めています。内戦状態にちかい南スーダンに「警護」を任務とした自衛隊が派遣されれば、戦闘に参加せざるを得なくなります。事態は自衛隊による「殺し殺される」がいつ起こっても不思議ではない危険な段階に入りました。

改憲推進を露わにする安倍首相
改憲問題も重要な段階を迎えています。7月の参院選で改憲に前向きな勢力が3分の2を超え、国会発議が可能な状況になりました。安倍首相は9月26日に行われた臨時国会の所信表明演説で、「(改憲)案を国民に提示するのは私たち国会議員の責務」「憲法審査会での議論を深めていく」などと改憲を推進する姿勢をあらわにしています。めざすは自民党改憲草案に基づく改悪です。

「憲法」の名に値しない改憲草案
憲法審査会は単に議論する場ではなく、改正草案の原案を発議する場所です。そこで自民党改憲草案をベースに議論すれば、どんなに問題点が浮き彫りになったとしても、最後は数を頼りにした強行採決になるのは目に見えています。改憲草案は、9条2項を削除して国防軍を持ち、何の制約もなく海外で武力行使ができるようにするばかりでなく、国家権力を制約するはずの憲法を国民を縛るものに変えてしまうという、もはや憲法とは言えないものです。

安倍政権が一番嫌うことを
事態は切迫しています。かつて麻生副総理が「憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気づかないで変わった。あの手口を学んだらどうかね。わーわー騒がないで」と発言して問題になったことがありました。安倍政権が望んでいるのは、あまり騒がれないうちになし崩し的に決めてしまうことです。ならば、その一番嫌うことをするに限ります。憲法の改悪を阻止し、戦争法を実行させない、廃棄にまで追い込むために、反対の声を高らかに上げて「わーわー騒ぐ」ことにしましょう。

「大井九条の会」代表 田村 嘉浩

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