9条改憲とファシズムの先にある戦争を阻止する

9条改憲と「戦争する国」の先取り

自民党の党大会が3月25日に開かれました。安倍首相は総裁演説の最後を「いよいよ、結党以来の課題である憲法改正に取り組むときが来た」と締め括り、改憲への執念を改めて示しました。党大会では、改憲の条文案を決定できませんでしたが、自民党改憲推進本部で検討してきた9条に自衛隊を明記する案などの方針を確認しました。内容は、9条第1項と第2項を残した上で、9条の2として「前条の規定(戦力不保持)は、…必要な自衛の措置を執ることを妨げず、そのための実力組織」としての「自衛隊」を保持するというもので、これまで歴代政府が自衛隊「合憲」の根拠にしてきた「必要最小限度の実力組織」という表現さえ削除しています。「自衛の措置」とは「自衛権」を意味し、国連憲章51条の個別的自衛権と集団的自衛権を含むものとなり、政府が必要だと判断すれば、集団的自衛権の全面的な行使=無制限の海外での武力行使も可能となります。
安保法制=戦争法が施行されてから2年が経過しました。集団的自衛権の行使など米軍が海外で起こす戦争に自衛隊が参戦する道を開いた同法制の下、日米軍事一体化が加速しています。この上、さらに9条が改憲されれば「戦争する国」づくりを一層進めることになります。

安倍政権下で進むファシズム的状況

「今そこにあるファシズム」、これは3月27日付け毎日新聞の「特集ワイド」のタイトルです。最近、ファシズムに関係することで「ファシズムの初期症候」を知りました。
「ファシズムの初期症候」とは、アメリカの政治学者ローレンス・W・ブリットによって書かれた文書を14項目にまとめたものです。アメリカにあるホロコースト博物館にパネル展示されていて、トランプ政権発足後アメリカで注目され、それが日本でも話題となりネット上で拡散しています。その14項目とは次のようなものです。
○強情なナショナリズム  ○人権の軽視  ○団結のための敵国づくり  ○軍事の優先  ○性差別の横行  ○マスメディアのコントロール  ○国家の治安に対する執着
○宗教と政治の癒着  ○企業の保護  ○労働者の抑圧  ○学問と芸術の軽視
○犯罪の厳罰化へ執着  ○身びいきの横行と腐敗  ○不正な選挙
これらの項目は、教育基本法の改悪、秘密保護法・安保法制・共謀罪法の制定などをはじめとして、現在の安倍政権下で起こっている事柄や状況に合致するものばかりです。
よく現在の状況が戦争前の状況に似ていると言われます。ファシズムの台頭の先に戦争があることを思えば、安倍政権下で進むファシズム的状況を無視することはできません。

9条改憲を阻止する声を一層大きく

「森友」公文書改ざんをめぐり、国民主権と議会制民主主義という憲法の基本原則の破壊が大問題になっています。安倍内閣の支持率が急速に低下する中で、安倍政権による「憲法改正」に「反対」が51・4㌫(共同通信)、安倍政権の9条改憲に「反対」が51㌫(朝日新聞)など、過半数の国民が反対の声を上げています。こうした声をさらに大きくして、安倍改憲を阻止することがいよいよ差し迫った課題になっています。
(大井9条の会代表 田村嘉浩)

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA