伊藤千尋さんの講演を聴いて

コスタリカの小学校
机が台形ですぐに円形で討論ができる
答えはすぐに出さず生徒どうしで考える。

 憲法は、遠いところにあるのではなく日常的な生活に深くかかわっていることを私たちはもっと感じながらその内容の示すところを活用しなければと強く思う講演だった。

 伊藤さんのお話はジャーナリストとして世界の国々で取材した実際の経験から導き出されたことばかりなのでとても共感でき、これから日本を背負う若者に日本国憲法をどのように伝えるかを模索する良い機会となった。ちょうど「コスタリカの奇跡」の上映を22日に控えていたので、特にコスタリカの近隣のベネズエラでは憲法の本を道端で販売していたというエピソードは興味深かった。

 映画の中で憲法が守られているかどうかの視点で国を相手に闘うコスタリカの青年の姿を描く場面があるのは国民が自国の憲法をいかに大切に思っているかの象徴だからであろう。購入する人がいるから道端でも憲法の本を売っているという国がある一方、日本では、憲法は生活の中で活用されているという感覚があまりないのはなぜなのだろう。 戦争放棄、生存権、思想信条の自由、男女平等、請願権、基本的人権の尊重等々、憲法で明記されていることばかりであるが、果たしてその権利は実行されているだろうか。

 賃金格差が引き起こす生活苦、生活保護支給が減額され生活が立ち行かない人、男女平等が叫ばれているのにセクハラ、パワハラ、女性の社会進出への困難さを嘆く人、憲法で保障される権利があることを知らないため実践できない人、障がいのある人が日常生活するのに制度が整っていないため不便な生活を余儀なくされていることと日本国民は権利を行使しないまま耐えていると思われることが多々見受けられる。

 コスタリカ国民は子供時代から憲法は利用するのが当たり前と教育され、それを身近で実践している例を聞くにつけ、日本はまだまだ発展途上国だといわざるを得ない。 しかしながら憲法第9条については世界中から称賛されている事実もあると同時に日本国内では憲法9条を話題にすると偏見の目にさらされることもある。 むしろこの内容が明記されている日本国憲法を誇りに思いながら生活の中でどのように活かしていくことができるかをこの先考えたい。

 コスタリカ人に学ぶことは多いと伊藤さんの講演を聞いて改めて思った。さらにコスタリカへ是非行ってみたいとの夢が見つけられたことは大きい。

伊藤千尋さんの講演会についてはこちら

(石黒愛子)

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